タクシー運転手〜約束は海を越えて〜

こんな人にオススメ 韓国の現代史を知りたい人

          頑張っているおっさんを見たい人

2017年公開 チャン・フン監督

この映画は1980年代に光州で起きた民主化デモを題材にした映画。ソウルでうだつが上がらない生活をしていたタクシー運転手がひょんなことからドイツ人記者を事件が起きている光州まで乗せていくことになる。始めは反クーデターデモに対して学生といういいご身分で何がデモだなんて思っていた運転手も無抵抗の市民に躊躇なく暴力を振るう軍に唖然とする。地元のタクシー運転手たちの助けもあって、なんとか記者を連れてソウルへ脱出することができた。この映画を見て一番強く感じたのは民主主義はこういうことなんだということ。トップダウンではなくて人々が助け合って、動いていくこと。また、当事者でなければ真実が伝わらないということ。もし外国人記者が記録を残さずいたらどんなに酷い行為が起こっていたとしても歴史の闇に消されてしまう。あのまま光州全体が封鎖されたままだったら峠をこえた街にすら正しい情報は伝わらないまま軍隊の暴力を受け続けていただろう。地元の新聞記者も日和って体制側の情報しか流さなかった。歴史は普通の市民が動かしている。別れ際には偽名を伝え、外国人記者が再訪した時にも名乗らなかった。日本でもこのくらい政治に対しての熱と誠実さがあったらなぁ。